サピエンツァ・ローマ大学院 建築学部建築(修復)課程の授業【修士1年前期】

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修復

今回は僕が通っているサピエンツァ大学の修復コースで修士1年はどのような授業を受けているかを説明します。

前期は4つの科目があり、一つの科目に対して4時間前後の授業が週2回あります。

※1年前期は英語コースに在籍していた為、イタリア語コースとは内容が異なります。
また年度によって教授が変わるのでご了承ください。

授業ラインアップ

・修復の理論と実践 (Theory and practice of conservation) 選択1
・建築実測 (Architectural survey)
・歴史調査の手段と方法 (Tools and metheds for histrical research)
・古代と現代建物の構造 (Structural engineering of acient and modern buildings)

内容・授業方法・参考文献など

修復の理論と実践 (Theory and practice of conservation)

授業内容
・レスタウロの歴史について
・レスタウロの種類
・語彙の定義

以上の点をイタリアを中心とする建物を紹介しながら説明していきます。

グループワーク
・ローマの歴史的建造物を一つ選び、建物の歴史、レスタウロの歴史、建物に行われたレスタウロについての批判をまとめる
・母国の文化財・歴史的の修復について授業で発表する

参考文献

ヨッカ・ヨキレット、『建築遺産の保存 その歴史と現在』監修:益田兼房、訳:秋枝ユミ エザベル、初版2005年

この本を読めば基本的なレスタウロの歴史の流れがつかめます。僕の知っている限り唯一の日本語で西洋(主にイタリア)のレスタウロを体系的にまとめられている本です。

修士1年前期で一番重要な授業といってもいいでしょう。

日本の修復にはない(Restauro)レスタウロの考えを理解するために役立つ授業です。

建築実測 Architectural survey

授業内容
・実測の理論
・実測方法
・手書きスケッチ(キャンパスのファサード、ディテール)
・トータルステーション(測量機器)の使い方

学部時代に手書きから逃げていたのでひどいですね。
外国人の友達に水彩絵の具使ったことないと言ったら「ホントに建築学科?」と言われてしまいました。

グループワーク
建築学部のキャンパスをトータルステーションを使い実測。十数グループで30近いステーションを分ける(1班が2つのステーションを担当)。
-全体平面図
-ファサード立面
-担当した階の平面図、断面図
-担当したステーション部分(教室・廊下・ホール・階段)の平面図、立面図。それぞれ建築図面と幾何学図面

修復をする上で実測は不可欠な作業で大切な授業です。修士2年で修復設計の授業があり、自分たちで実測しなければなりません。

・歴史調査の手段と方法 (Tools and metheds for histrical research)

授業内容
・時代区分
・歴史調査のアプローチ方法
・各時代における科学的資料について

グループワーク

・授業で説明された道筋に沿って、ローマにあるモニュメントを歴史調査

修復は歴史調査から始まります。
日本とは違う時代区分や歴史調査方法、特に直接調査(建物を直接観察して様式や素材から時代や特徴を知る)や石造の積み方などを学ぶことができます。

古代と現代建物の構造 (Structural engineering of acient and modern buildings)

授業内容
・石造アーチの力の流れとつり合い
・転倒モーメント

グループワーク
・構造について自分持っている知識を発表(学部時代の構造実験を発表したら、海外の建築学部は構造系の授業があまりないのか、結構反応が良かったです。)
・イタリアの建築物(教会や門など)を構造分析

日本の建築学科は工学部や理工学部にあるため海外の建築学部や学科に比べ構造系の教育がきちんとしています。(建築士の試験は必須ですからね)

そのため多国籍の学生が来るこの英語コースで、この授業は一般的な構造の知識を与えることが目的になっています。(建築ではなくインテリアデザインからくる人もいます。)

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