今回は日本とイタリアの大学院の違いについて紹介します!
大学院留学を考えている人にとってその国の修士課程のシステムはどこの国へ行くか大きな判断要素になりますよね
せっかく骨の折れる手続きをしてやっと手に入れた留学生活なのに、留学してから「あれっなんか違うな、、、」と気づくのはあまりにも不本意であると思うのでぜひ参考にしてみてください!
【結論】5つの違い
ローマ大学の建築(修復)修士課程に通っている僕が感じる違いは大きく次の5つです。
1.大学院入試:日本は筆記・面接・(実技)試験だがイタリアは書類審査
2.研究室:配属されない
3.授業中心の学生生活:2年間で120単位
4.試験:3回受けれる
5.卒業:自分のタイミングで卒業試験を受けることができる
大学院入試
まず日本とイタリアの両方の入試を見てみましょう
一般的な日本の大学院入試
・筆記試験
・面接試験
+α実技試験 (建築の場合、即日設計)
ローマ大学院入試
・書類審査
-推薦状
-学部の成績
-語学能力
-ポートフォリオ(建築・デザイン)
日本の大学院入試では基本的に筆記と面接の両方の点数の合計で合否が決まり、筆記の比重が高いそうです。
建築のデザインや音楽・芸術系(おそらく)などは筆記・面接に加え、実技試験もあります。
一方、イタリアの大学院入試ではPreSelectionという書類審査が基本的に合否を決めます。
学部によりますがPreSelectionを通過した後は面接試験があります。
日本にいる場合はスカイプでできるそうです。
(イタリア留学フェアでローマ大学のブースで担当者の方に教えてもらいました)
また、ヴェネツィア建築大学では筆記試験もあると、イタリア留学フェアの際に建築学部の助教授?をされている方から聞きました。
※大学ごとで異なるので募集要項をしっかり読んでください!
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研究室に配属されない
日本とイタリアの大学院の一番大きな違いは研究室に配属されないことです。
日本の場合、大学院入試の際に第1志望・第2志望の研究室を提出し学科試験の基準を満たしかつ研究室の定員数に入ることができれば入学できます。
よっぽど面接試験が悪くなければ筆記試験の結果順に割り振っていくそうです。
一方、イタリアでは研究室Laboratorioは教授、PhD、博士課程で構成されており、修士や学部4年は所属しておりません。
つまり、日本の大学院の研究室でできる以下のことができません。
-自分のデスクで作業
-研究室で夜中まで勉強・朝まで徹夜
-研究室で椅子3つ並べたり・寝袋使って朝まで寝る
-日曜に大学へ行く
-研究室で印刷・参考文献のスキャン
-研究室のプロジェクターでスマブラ
研究室制度に慣れている日本人学生は最初は戸惑います。
次はそのできない部分をどうするか紹介します!
研究室でやってたことはどうするのか?
Q1.どこで勉強するのか?
A.主に以下の3つになります。
-大学の空き教室
-図書館
-自宅
イタリアで勉強するうえで難しいことの一つです。
しかし、また答えの中にも問題があります、、、
空き教室:どこの教室も埋まっていて空き教室がない/パソコンを充電するコンセントが使われている/7時にキャンパスが閉まる/土曜は午前中のみ、日曜は終日閉校
図書館:6時には閉館/さらに閉館が早い時がある/席が埋まっている/土日開いていない
自宅:集中できない、、、
勉強場所といえば次の質問が出てきます
Q2.勉強できるカフェはないの?
A2.ローマでは基本的に勉強できるようなカフェはごくわずかしかありません。
特にパソコンを開いて勉強するのはとても難しいでしょう。
なぜなら日本のスターバックスやドトールなどのチェーン店がほとんどなく、バーやカフェテリアは家族や友達と話をする場であり勉強で長居する習慣がありません。
勉強やパソコンを広げると明らかに嫌がる反応をされます。
Q3.コピーや印刷、スキャンはどこでするの?
A3.
コピー:印刷屋
印刷:印刷屋/コピー機購入
スキャン:図書館のスキャン/スマホ/スキャン機能付きコピー機購入
授業のスライドなどの印刷は大学でできます。
大学には印刷屋が入っていることも多く、街にあるお店よりも安く印刷してくれます。(ローマ大学ではA4白黒€0.04/枚)
印刷をしている所を見たことありますが、コピーしている人は見たことありません。
また、コピー機を購入して家で印刷している生徒もいます。
スキャンは図書館のパソコンにスキャンできる機械があることが多いです。
しかし、それらの多くが古いもので解像度がとても低いです、、、
大半の生徒がスマホのアプリを使ってスキャンまたは写真を撮っていますが、正直言って読みにくいのでオススメしません。
僕の場合、寮に日本メーカーのリコーの複合コピー機があるので本を借りて寮でスキャンしています。
本当に助かっています、、、
授業中心の大学院生活
先ほど言ったようにイタリアには研究室に配属されません。
そのため日本でやるような教授の研究や先輩の研究の手伝いやゼミ学部生のTAをしません。
じゃあ何をするかというと、、、授業です。
イタリアでは授業が中心で、1コマ短くて2時間・長くて5時間の講義・演習(もちろん休憩がありますし、教授次第で早く終わります)が週に7-8コマくらいあります。
↑ローマ大学建築学部建築(修復)課程1年前期を例にすると、4つの授業あり週2コマずつ=合計8コマ
→週3日:全日、週2日:半日
と日本の学部生と同じくらい又はそれ以上の忙しさになります。
どれだけ授業が多いのかは修了するのに必要な単位数を見ると分かります。
日本とイタリアの修了要件を比較して見てみましょう
修了必要単位
日本の大学院:30単位以上
イタリアの大学院:120単位
イタリアの大学院で修了するために必要な単位数は日本と比べると3~4倍になります。
120単位というと日本の学部の必要単位数が124単位以上であることを考えると、日本の学部4年間で取得する単位をイタリアの修士課程では2年間で取得することになります。
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試験の日程が選べる
通常、日本の期末試験は期間が2週間ほどの短期決戦で日にちが固定されています。
しかし、イタリアの期末試験は約1か月半と長期戦で決まった日程の中で自由に試験日を決めることができます。
一般的な期末試験のプログラムは、テスト週間と準備週間が交互にありそれが3回繰り返されます。
授業終了後
準備期間:1週間
テスト1週目:1週間
準備期間: 1週間
テスト2週目:1週間
準備期間: 1週間
テスト3週目:1週間
合計6週間=1ヵ月半
前期 授業終了:1月15日 テスト最終日:2月26日 =1ヵ月+10日
後期 授業終了:6月4日 テスト最終日:7月18日 =1ヵ月+2週間
そのためどのようにテストを組むかは自分次第になります
準備が足りなければ後ろの方に試験を持っていくこともできますし、逆に試験を早く終えることができれば長い休暇をと取ることができます。
極端な話、1週目で終わらせれば1ヵ月も休みが増えます。
グループワークがある授業ではグループで口頭試験を受ける場合がほとんどで、その場合はグループの生徒と話し合って日程調整することが必要になります。
試験が最大3回も受けれる
基本的に日本の大学の期末試験は1回しか受けることができません。
あったとしても必修科目の追試があるくらいです。
一方イタリアでは1つの授業につき、最大3回まで試験を受けることができます!
申し訳ありませんが、3回落ちたらどうなるかは知りません、、、
試験は30点満点で評価され、6割の18点以上であれば合格です。
イタリアでは口頭試験が多く、
授業により1人ずつ試験後すぐ点数をつける教授と全員の試験が終わってから全員の点数を決める教授がいます。
点数の発表の際は試験を受けた順番に名前が呼ばれ自分の点数を言われた後、合格点以上ならその点数を受け入れるかもう一度試験を受けるかを決めます。
受け入れる場合はそこでテストの予約票にサインし、拒否する場合はもう一度他の週に
拒否する場合の注意点
一度破棄した点数に戻ることはできません。
もし1回目のテストが26点で2回目のテストが24点だったとすると、1回目の高い点数26点ではなく2回目の低い点数24点の方になります。
そこで3回目の試験を受けるかどうかを決めます。
そのため準備期間でほかのテストと並行しながらどれだけ準備できるかを考えなければなりません。
前回受けた試験と比較して点数を決める教授もいれば、全くフラットな状態で評価してくれる教授もいます。
悪い例ですが点数を拒否した後多くの時間を割いてプロジェクトの質を上げて理論も勉強したのにも関わらず、教授への前回の試験の印象が悪かったので1点しか上がらなかったことがありました。
まとめ
今回はイタリアと日本の大学院の違いを通して、イタリア留学について紹介しました。
学部や学科によってこの特徴がどのように勉強に影響があるのかは異なるでしょう。
日本のように研究に没頭して修士課程を過ごしたい人もいれば、イタリアのように授業形式で幅広いことを学びたい人もいると思います。
英語やイタリア語で勉強したり多国籍な環境で勉強する価値もある僕は思うので、自分が「修士課程のどこに価値を置くのか」考えてみると進路の方向性を定めてくれると思います
少しでも判断材料になったとしたらとてもうれしいです!
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