3月17日に修士論文の口頭試問を行い、無事ローマ大学院建築学部修士課程を修了しました!
イタリアでは卒業式がなく、口頭試問がある場合は卒業試験を通った日が卒業の日になります。
そして卒業した時に月桂冠を被るのがイタリアの習慣です。
現在晴れて無職の身になりました笑
ということで今回は今後の目標を発表したいと思います。
とても偉そうな事を言いますのでご了承ください。
今後の目標
目標は大きく2つあります!
- 日本の文化財修復への貢献
- 日本の行政の改善
建築修復の文化財修復への貢献
2つの中でもメインの目標は日本の文化財修復の理論の発展です
日本の学問としての修復
日本では修復という分野が学問として発展していません。
日本の大学で修復をメインに勉強できる修士課程は、僕の知る限り東京藝術大学と京都工芸繊維大学の2つの大学のみです。
僕は修復を学ぶと決める前にイタリアに行くことを決めていたので、この2つの大学に修復の修士課程がある事は去年まで知りませんでした
きっかけはこちら↓
日本の文化財修復の現状・問題点
日本の文化財保存・修復の問題点は2つです
- 評価 特定の年代に分類し、その姿を価値のあるものとする
- 修復方針 修復の際は、その分類させた年代の姿に戻す。
復元を基本とした修復が行われています。
なぜなら、まず最初に建物が文化財に登録させる際に時代区分されます。
修復の際はその時代の姿になるように復元されます。
文化財の価値
日本は伝統的な建築技術が残っている滅多にない国です。
この技術は建物を元の姿に戻す為ではなく、建物を将来に残すための技術です。
イタリアでも、元の姿に戻す修復が19世紀終わり~20世紀初めに行わていました。
文献修復、科学的修復というものです。
文献に書いていることが正しいとし、歴史調査に基づいて同じように建てるというのがこの文献修復の特徴です。
有名な言葉があります「Come era, dove era」
日本語に訳すと「昔のように、元あった所に」
この言葉で有名なのがヴェネチアサンマルコ広場の鐘楼です。
1902年に完全に崩壊したのですが、その後この言葉のように元あった場所に元の姿で再建されました。
他の昔の姿に戻した2つの例を挙げます。
1つ目はパンテオン
パンテオンはバロック期に有名なの彫刻家、建築家、画家であるベルリーニがデザインした2つのバロック様式の鐘塔を持っていました。
しかし、元の姿が正しいという考えにより1800年終わりに取り壊されてしまいました。
2つ目はサンタ・マリア・コスメディン教会
観光客が必ず訪れる真実の口がある教会です。
この教会はコロロ様式のファサードを持っていました。
こちらも昔の姿が正しいという理論により1800年終わりロココ様式のファサードが取り壊されてしまいました。
現在イタリアではこのような修復が行われませんし、また鐘塔やファサードをつけたりすることはありません。
なぜなら、「建設当初の姿」「増築による付け加えた姿」「取り壊された姿」そして「現在の姿」とすべての変遷が建物の価値だからです。
建築技術の継承の受け取り方
日本は先人のお陰様で、昔の宮大工の技術が継承され続け現在に残っています。
木造建築を持つアジアの多くの国では技術が失われてしまっています。
何の為にこの貴重な昔の技術継承があるかを考える必要があると思います。
現在は修復の際に建物を元の姿に戻す為に使われています。
しかし、僕の考える技術継承の本質的な意義は「歴史的建物を将来に残す為」と、とても簡単なことだと思います。
元の姿に戻す為に技術を使うのではなく、建物を将来に残す為に昔の技術を使いませんか?
日本の修復がダメなわけでない、ただまだ未熟なだけ
僕が日本が全くダメと言いたいわけではありません。
イタリアも様々な修復の考え方・方針の変遷を経て現在の理論へ辿りついています。
また、理論が発展しているイタリアでも施工や管理で問題があったりと課題がたくさんあります。
日本の修復はまだまだ伸びしろがあるとポジティブに考えてます!
日本の建築修復へ貢献できること
僕の目標は日本の修復に次の2つの概念を持たせることです
- 建物の歴史はその建物のすべての変遷にあり、特定の時代は一つの建物の特徴に過ぎない
- 昔の姿同様に現在の姿も価値があるので、過去の姿に戻すことはできない。修復はあくまでも現在の姿を未来に残すための建築行為である
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日本の行政の改善
きっかけ
日本人であることで多くの徳をしてきました。
人から信頼されたり、日本好きで話しかけてくれたりと良いことがたくさんありました。
またイタリアをで他の国へ行くときも日本のパスポートがあれば、観光ビザを発行する必要がありません。
日本のパスポートは世界で一番信用があり、現在191ヵ国にビザなしで渡航することができます。
車、電気製品、アニメなど世界中で知られている日本のものがたくさんあります。
日本のお陰で良い経験ができているので、日本へ恩返しをしたいという思いもあります。
また、日本には良い部分がたくさんある、一方国際的にみるとおかしな点もあります。
最近話題になった男女差別や人種差別、また学校における髪の毛の黒と統一などまだまだ改善できる点がたくさんあり、外に出て気付くことができた僕が改善の為に働くことができたらと思っています。
また、政治や行政の動向を見る様々な事に疑問を持っています。
・コロナ禍の対策
・税金の使われ方
・政治家の汚職問題
行政の中に入り政策を知る
「政治家がダメだ」「行政がダメだ」口で言うのはとても簡単です。
実際に行政機関の中で働くことにより、政策を行う難しさが見えてくると思っています。
中から見る景色と外から見る景色は違いというますよね。
誰かが変えるのを待つよりも自分が行動して変えた方がいいなと感じています。
行きやすい社会へ
僕が目指す社会は「正しいことを正しい、間違っていることを間違っている」と言える社会です。
先ほども言いましたが、政治や行政に対して多くの疑問があります。
僕の印象として、政治や行政の中では間違っていても権力があれば正しくなってしまう、逆に正しいことを言っていても権力がないと間違っているとされてしまうということがあります。
立場や権力など関係なく、国民がより豊かな生活を送れるようにするのが行政の仕事、行政の本質的な存在意義がそうだと思っています。
進む格差社会の日本
僕が今まで大学へ通ったり、留学することができているのは生まれてきた環境が経済的に可能であったからに過ぎず、他の家庭に生まれたらできなかったかもしれません。
この様に考えると今仕事に就くことができない人や勉強ができない人は本当に彼らの責任なのでしょうか?
お金があれば塾に行ける、塾に行ければいい高校や大学に行ける、いい高校や大学に行けば良い就職できる日本社会です。
そのような中で最低限な教育や機会を子供たちに与えることが必要だと思っています。
子供だけでなく、家庭状況で高卒で働く人や職を失った人に対して行政は手を差し伸べるべきでしょう。
教育制度や社会保障の整備は国民全員の生活を豊かにする為に必要なものだと思います。
2つの目標を達成する為に国家公務員へ
日本の文化財修復への貢献、行政の改善この2つの目標を達成する為に、国家公務員になることに決断しました。
日本での就活
国家公務員を目指すきっかけは文化財の修復に携わる仕事を探していた時のことです。
伝統的建造物に携われる仕事は以下になります
- 建設ゼネコン
- 組織設計事務所
- 公益財団法人文化財建築物保存技術協会
- 国家公務員
歴史的建造物の修復は、経済的な活動ではなく文化的活動になります。
そのためお金を稼ぐことは難しいです。そのため一般企業で歴史的建造物を主な稼ぎ口にしている企業はありません。
ゼネコンに就職した場合、伝統建築物の部署に所属できるかは確かでありませんし、できたとしてもずっといれるわけではありません。
組織設計事務所の場合は歴史的建造物の計画だとしてもリノベーションがほとんどで、既存上に対する新築みたいなもので修復とは異なります。
公益財団法人文化財建築物保存技術協会は文化庁の下請け設計事務所で復元を基本とする修復を行い、修復の方向性への決断権はありません。
僕は文化財・登録できていない歴史的建造物の修復の根本的な考えを発展させたいので、文化財を管理する側の国家公務員(文化庁又は国交省)で働きたいと思っています。
若手キャリア国家公務員の退官傾向
優秀な若いキャリア国家公務員が退職していると下のニュースのように目にします。
若手の志を枯れさせてはならない 官僚の働き方見直しを(朝日新聞)
働き方改革が日本全体的に進む中、一般企業に比べて霞が関の労働環境の改善が進んでいないことが原因なのでしょう。
どこかの時点で誰かが声を上げて変えていくことが必要だと思います。
すでに、昨年署名が提出されました。
届け、2万7000筆の思い 「霞が関は残業の震源地」──国家公務員の働き方改革に向け有識者が河野大臣に署名を提出(ITmedia)
タクシー代に22億円の経費が掛かっているなんてすごいですね。
国家公務員になる人は優秀な人達だと思います。
そのような優秀な人材を行政が失うのはとても残念な事だと思います。
働き方だけでなく、省庁の中での組織の中での人間関係など様々な要因があることでしょう。
凄く偉そうなことを言いますが、日本社会の変化の時期を迎えている今海外で多様な価値観や文化を学び、日本を客観的に見れる僕が良い方向に向かう風を吹かせることができるのではないかと思っています。
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まとめ
今回は今後の目標を紹介しました。
この様にブログに書くと、国家公務員試験や官庁訪問での選考の際に影響するかもしれないという懸念があったのですが、必死に勉強してそのような対応を取られたしまったらそのような機関であると割り切っています。
建築修復と国家公務員について日本を良くする為に働きたいと思っているので、応援のほどよろしくお願いいたします。
コメント
応援します!これからが楽しみですね!
むつみさん
応援して頂き有り難うございます。精一杯頑張りたいと思います。